相馬市の水産業

1.相馬市の震災前の水産業

(1)原釜地区

相馬で水揚げされたヒラメ

小型底曳によるヒラメ・カレイ類を主力として、東京の旧築地市場で鮮魚出荷の「常磐物」ブランドを築きました。「常磐物」である原釜産の水産物は、高値で取り引きされていました。

平成21年度の海面漁業生産統計調査によれば、ヒラメ・カレイ類の漁獲量は全国1位。イカナゴが2位、アナゴが3位、タコ類が4位と、さまざまな魚種で上位を占めていました。

 

(2)松川浦地区

松川浦で水揚げされたヒトエグサ

岩子集落(松川浦)は、明治後期までは製塩業が盛んでしたが、専売化により衰退。官民挙げてアサクサノリ養殖が導入され著名になりました。
1970年代からアサクサノリ(黒ノリ)からヒトエグサ(青ノリ)が人気となり、現在の岩子のノリ漁家は、ヒトエグサの養殖を主にしています。
また、アサリの潮干狩りは相馬市の観光資源でもあり、シーズン中は多くの観光客でにぎわっていました。

(3)磯部地区

水揚げ直後のホッキを陳列している様子

磯部漁協として単協だった時代は、日本一のホッキ生産量を誇っていました。
親貝保護のための禁漁区の設定、曳網回数の制限、休漁区の設定などを行い、安定供給のための仕組みを作りました。
1990年代に輸入品の増加や不況の影響により、ホッキ漁の存続が危ぶまれる事態となりましたが、ホッキの地元消費のイベント販売や、料理法のPRなどを行い、ホッキ漁を守ってきました。

2.震災による水産業の被害

被災した荷捌き施設
打ち上げられた漁船

平成23年3月11日発生した、東日本大震災により、漁業関係の施設・設備は壊滅的な被害を受けました。また、漁業者は、自宅や所有していた漁具倉庫が流出し、相馬原釜、磯部、松川浦地区の漁船は、531隻中381隻が使用不能に陥り、漁業の再開が見込めない状況となりました。また、福島第一原子力発電所の被災により、高濃度汚染水が海洋放出され、操業を自粛せざるを得ない状況に追い込まれました。

施設の復旧後、試験操業が始まってからは、風評被害により相馬産の水産物の取引価格が震災前に比べて下落したり、付き合いのあった他県の業者との取り引きがなくなったりと、常磐物ブランドの再獲得・販路の再構築が課題となりました。

3.水産業重要施設の復旧

東日本大震災により壊滅的な被害を受けた相馬市の主要産業である漁業を守るため、水産基盤再生に必要な施設および周辺環境を整備しました。原釜荷捌き施設では、水揚げされた魚の放射能検査ができる設備が整えられ、魚の安全を確認することができます。

また、震災前5社程度あった磯部地区の水産物加工業者は、それぞれが復旧するのではなく、組合を組織して一施設にまとまって水産物の加工を行っていきたいという地元要望を受け、磯部水産加工施設が新たに整備されました。

原釜荷捌き施設

原釜荷捌き施設 H28年9月1日使用開始

共同集配施設

共同集配施設 H27年12月18日使用開始

原釜漁具倉庫(底曳き・小型)

原釜漁具倉庫(底曳き・小型) H26年4月1日使用開始

上架施設・磯部漁具倉庫

上架施設・磯部漁具倉庫 H28年2月1日使用開始

磯部水産加工施設

磯部水産加工施設 H28年2月1日使用開始

4.相馬市の震災後の水産業

カニの初漁に出かける漁船

原釜荷捌き施設では、水揚げ直後に、検査室で魚種ごとにスクリーニング検査(自主検査)を実施し、安全であることを確認して出荷しています。国の食品衛生法では、放射性セシウム濃度の安全基準を「100Bq/kg以下」としていますが、福島県漁連では「間違っても100Bq/kgを超える魚介類を出荷しない」という考えのもと、「50Bq/kg以下」のより厳しい自主基準を設け、出荷しています。

相馬双葉漁業協同組合では、令和3年4月よりこれまでの「試験操業」から「拡大操業」へ前進し、「本格操業」へ向けて段階的な漁業復興を目指しています。沖合底引き漁船の水揚げ量を、5年間で震災前の6割程度(現在は震災前の2割程度)に回復させる計画が出されています。

5.浜のにぎわいを取り戻す「浜の駅松川浦」

浜の駅松川浦
浜の駅松川浦で水産物を買い求める様子

令和2年10月25日、相馬復興市民市場(愛称:浜の駅松川浦)がグランドオープンしました。

浜の駅松川浦は、津波で流出した水産物直売センターに代わり、「浜のにぎわいを取り戻す」ための拠点施設として整備され、地元相馬産の水産物を買い求めやすくなりました。

浜の駅松川浦では、相馬で水揚げされた新鮮な水産物をはじめ、農産物、土産物の販売を行っており、店内の食堂「くぁせっと」では、地元の素材にこだわった、おいしい料理を味わうことができます。

たくさんの方に浜の駅松川浦を利用していただき、相馬の水産物を食べていただくことによって、風評の払しょくを目指しています。

関連ページ

相馬市の水産業について、もっと知りたいという方は、ぜひ以下ページもご覧ください。

相馬市の主な水産物の漁獲時期と旬をまとめたカレンダーにまとめました。

相馬市お魚旬のカレンダー(PDFファイル:646.2KB)

旬のカレンダーに載っている各水産物の特徴や食べ方などをまとめました。

相馬市お魚図鑑(PDFファイル:574.9KB)

キッズメニューは下記のページを確認ください。

この記事に関するお問い合わせ先
農林水産課 水産振興係

〒976-8601
福島県相馬市中村字北町63-3 市役所庁舎2階
電話番号:0244-37-2152
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更新日:2022年02月14日