子どもたちの読解力向上「リーディングスキルテスト(RST)」の活用
小・中学生の「読解力」の向上の取り組み
市教育委員会は、子どもたちの「読解力」の向上のため、市内全ての小・中学校でリーディングスキルテストを活用した取り組みを、令和2年度から始めました。
「リーディングスキル」とは、「基礎的・汎用的な読解力」のことであり、教科書や新聞、説明書などに書かれている意味や意図を、迅速かつ正確に読み取る力のことです。どのような時代であっても普遍的に求められる能力の一つであり、生涯にわたって学び続け、豊かな人生を送る上で重要なものと言えます。
市教育委員会では、子どもたちの読解力向上のため新聞などを活用した要約などの取り組みを行ってきました。全国学力・学習状況調査の教科に関する調査では、短答式や記述式の問題の平均正答率が全国平均を上回るといった一定の成果をあげたものの、活用問題や複数の情報を読み取り、問題を解決する力は伸び悩むという課題がありました。この状態を踏まえ、市教育委員会では子どもたちが文章を読んだ際、意味を正確に読み取れていない可能性があること、子どもたちの読解力に関する客観的なデータが必要であると考えました。そのため、リーディングスキルテストを活用した読解力向上の取り組みに着手しました。
リーディングスキルテストとは
リーディングスキルテストは、知識を問うテストではなく、文章の意味を正しく読み取れているかを見極め、一人一人の「基礎的・汎用的な読解力」を測定・診断するものです。
相馬市では、小学校5年生、6年生、中学校1年生から3年生までの全ての児童生徒がリーディングスキルテストを受検します。受検の際は、パソコンやタブレット端末を利用し、全員が同じ問題に取り組むのではなく、次の6つの分野で個々の読解力に応じた問題が出題されます。
1.係り受け解析の問題
どこが主語か、目的語はどれか、修飾語がどこに係っているか、「誰が(何が)」、「何を」、「どうした」という文の基本構造を正しく認識する力を測ります。
2.照応解決の問題
「それ」、「これ」などの指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語を正しく把握する力を測ります。
3.同義文判定の問題
2つの文章を比較し、それらが同一の意味であるかどうかを正しく判定する力を測ります。
4.推論の問題
小学校卒業までに日常生活や学校で身に付けると期待される常識と論理を用いて、与えられた文章から正しく判断する力を測ります。
5.イメージ同定の問題
文と図やグラフ(非言語情報)を正しく対応させる力を測ります。
6.具体例同定の問題
定義を読んで、それと合致する具体例を正しく認識・判断する力を測ります。
リーディングスキルテストの結果を活かした授業改善
各小・中学校では、リーディングスキルテストの結果を分析し、それぞれの児童生徒の基礎的読解力の実態を把握します。そのうえで各学校の「相馬市公立学校研究指導員」が中心となり、市教育委員会の指導主事が協力しながら児童生徒の読解力向上につながるよう、授業改善や指導力の向上に取り組んでいます。
相馬メソッド ~リーディングスキルの視点を意識~
市教育委員会では、子どもたちの基礎的読解力の向上、学力向上のための相馬市独自の授業改善の方向性として「相馬メソッド」を定めました。
「相馬メソッド」は、「文の読み方を明示的に指導する」、「教師がリーディングスキルの視点で教科書を読む」、「子どもが教科書をフル活用する」、「教師と子どもでめあての確認をする」、「ノートに残す板書を構築する」、「教師の意図が伝わる表現をする」、「意図的にアウトプットの機会をつくる」、「具体例生成や同義文生成の活動を取り入れる」の8項目で構成されています。各小・中学校の教師が、この相馬メソッドの項目を意識しながら授業改善に取り組んでいます。
学校での取り組みと効果
各小・中学校では、教員の指導のもと「視写」、「音読」、「授業のめあての共書き」などに継続して取り組んでいます。また、各教員は授業前の教材研究の際に「相馬メソッド」を意識しながら教科書を読み込み、子どもたちにとって親密度の低い言葉やつまずきやすい言い回し、授業を理解するために必要となる言葉などを洗い出し、「リーディングスキル 授業お役立ちシート」を作成しています。
授業改善と学校での取り組みにより、子どもたちのリーディングスキルテストの各分野の能力が向上し読解力の向上、全国学力・学習状況調査の教科に関する調査の平均正答率の向上などの効果が表れています。
子どもたちの変化
市教育委員会は、リーディングスキルテストを活用した授業改善に関する研修会などで、教員へアンケート調査を行っています。同アンケートでの子どもたちの変化に関する回答で主なものは次の5点です。
- 素早く聞き取り、文字を書くスピードが速くなり、授業への集中力が増した。
- 教科書を使って自分で学べる子どもが増えてきた。
- 教科書の文章の重要な部分に線を引いたり、丸で囲んだり、色分けしたりするなどして、進んで教科書を最大限に活用している子どもが増えてきた。
- 文章を読み書きすることへの抵抗が徐々に減り、感想などでの書く量が増えた。
- 教科書の言葉にこだわるようになり、指示語に注意して読もうとしたり、語句の意味を考えたりするようになった子どもが増えてきた。
リーディングスキルテストの結果はこちらから
リーディングスキルテスト実施にあたって
リーディングスキルテストの受検や授業改善のための研修会などの費用は、「相馬市教育復興子育て基金」と「まち・ひと・しごと創世寄附活用事業(企業版ふるさと納税)」を財源としています。本市の子どもたちの健やかな成長、読解力向上のために温かい支援をいただいている皆さんに御礼を申し上げます。おかげさまで本市の子どもたちは、着実に読解力を伸ばし、生き抜く力を向上させています。今後とも温かい支援をお願いします。
- この記事に関するお問い合わせ先
-
学校教育課 学校教育係
〒976-8601
福島県相馬市中村字北町63-3 市役所庁舎1階
電話番号:0244-37-2185
- あなたの評価でページをより良くします!
-
更新日:2024年03月25日