令和5年度リーディングスキルテスト(RST)の結果
本年度のリーディングスキルテストの結果をお知らせします。
テストの概要
1_対象者
- 小学校=5年生と6年生の児童
- 中学校=全学年の生徒
2_実施時期
- 令和5年6月12日(月曜日)~令和5年7月14日(金曜日)
- 令和4年6月13日(月曜日)~令和4年7月20日(水曜日)
- 令和3年9月10日(金曜日)~令和3年9月30日(木曜日)
各学校の状況に応じて、上記期間内に実施しました。
3_表記の説明
- DEP:係り受け解析
- ANA:照応解決
- PARA:同義文判定
- INF:推論
- REP:イメージ同定
- INST:具体例同定
- INSTd:具体例同定(辞書)
- INSTm:具体例同定(理数)
- 能力値:受検者の能力を表す値(中学生の平均が0になるよう設計してある)
中学生の能力値平均の経年比較
中学生の能力値平均の経年比較は次のとおりです。
1_中学3年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和3年中学1年 | -0.31 | -0.45 | -0.41 | -0.32 | -0.46 | -0.43 | -0.25 | -0.47 |
令和4年中学2年 | 0.00 | -0.24 | -0.22 | -0.13 | -0.16 | -0.15 | 0.00 | -0.24 |
令和5年中学3年 | 0.13 | 0.01 | -0.10 | 0.01 | 0.09 | 0.08 | 0.24 | -0.03 |
R4-R5の伸び(小数第3位を四捨五入) | 0.14 | 0.24 | 0.12 | 0.14 | 0.26 | 0.22 | 0.24 | 0.21 |
- 年を追うごとに全ての分野で能力値平均の値が上昇し、能力値0を超える分野が複数生じている。
- 本年度の結果では、「照応解決(ANA)」、「イメージ同定(REP)」、「具体例同定(辞書)(INSTd)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」が、昨年度から0.2以上伸びている。これは、RSの視点を意識した授業改善の効果と考えられる。
- 「同義文判定(PARA)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」は、昨年度と比較すると伸びてはいるものの能力値0に達していない。
2_中学2年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和3年小学6年 | -0.49 | -0.58 | -0.57 | -0.55 | -0.40 | -0.52 | -0.30 | -0.55 |
令和4年中学1年 | -0.28 | -0.47 | -0.40 | -0.29 | -0.36 | -0.36 | -0.18 | -0.41 |
令和5年中学2年 | -0.12 | -0.24 | -0.25 | -0.22 | -0.16 | -0.19 | 0.00 | -0.28 |
R4-R5の伸び(小数第3位を四捨五入) | 0.16 | 0.23 | 0.15 | 0.07 | 0.20 | 0.17 | 0.18 | 0.14 |
- 年を追うごとに全ての分野で能力値平均の値が上昇している。
- 本年度の結果では、「照応解決(ANA)」、「イメージ同定(REP)」が、昨年度から0.2以上伸びている。これは、RSの視点を意識した授業改善の効果と考えられる。
3_中学1年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和4年小学6年 | -0.37 | -0.50 | -0.56 | -0.52 | -0.26 | -0.52 | -0.32 | -0.55 |
令和5年中学1年 | -0.19 | -0.29 | -0.38 | -0.27 | -0.16 | -0.21 | 0.00 | -0.28 |
R4-R5の伸び(小数第3位を四捨五入) | 0.18 | 0.21 | 0.17 | 0.24 | 0.10 | 0.31 | 0.32 | 0.26 |
- 昨年度と比較すると全ての分野で能力値平均の値が上昇している。
- 本年度の結果では、「照応解決(ANA)」、「推論(INF)」、「具体例同定(辞書)(INSTd)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」が、昨年度から0.2以上伸びている。中でも、「具体例同定(辞書)(INSTd)」が0.3以上伸び、能力値平均が0に達した。これらは、RSの視点を意識した授業改善の効果と考えられる。
小学生の能力値平均と偏差値平均
小学生の能力値平均と偏差値平均は次のとおりです。
(注意)「能力値0」は、「中学生の平均」に合わせています。そのため、小学生の場合能力値平均が非常に低くなることから、能力値平均のほかに各学年の偏差値平均も算定しています。
1_小学6年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
R4小5能力値平均 | -0.75 | -0.90 | -0.72 | -0.80 | -0.69 | -0.91 | -0.71 | -0.86 |
R5小6能力値平均 | -0.49 | -0.64 | -0.55 | -0.54 | -0.34 | -0.55 | -0.37 | -0.53 |
能力値の伸び(小数第3位を四捨五入) | 0.26 | 0.26 | 0.17 | 0.25 | 0.35 | 0.36 | 0.33 | 0.34 |
R4小5偏差値平均 | 44.31 | 44.14 | 45.19 | 44.13 | 44.05 | 42.74 | 44.08 | 43.10 |
R5小6偏差値平均 | 47.88 | 47.81 | 47.75 | 47.98 | 48.49 | 47.80 | 48.48 | 47.88 |
偏差値の伸び(小数第3位を四捨五入) | 3.57 | 3.68 | 2.56 | 3.85 | 4.43 | 5.06 | 4.40 | 4.79 |
- 昨年度と比較すると全ての分野で能力値平均の値が上昇しており、「同義文判定(PARA)」以外の項目は0.25以上と大幅に上昇している。
- しかし、「照応解決(ANA)」、「同義文判定(PARA)」、「推論(INF)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」は、-0.5以下であり、かつ、全ての分野で偏差値平均が50を下回っており、日々の授業で伸ばすことができるよう工夫が必要でである。
2_小学5年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
R5小5能力値平均 | -0.72 | -0.81 | -0.70 | -0.70 | -0.64 | -0.85 | -0.56 | -0.86 |
R5小5偏差値平均 | 45.06 | 45.63 | 45.66 | 45.69 | 44.77 | 43.96 | 46.12 | 43.74 |
- 5年生は初めてのRST受検となるため、昨年度との比較ができない。
- 「照応解決(ANA)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」が、-0.8以下であり、かつ、全ての分野で偏差値平均が50を下回っており、日々の授業で伸ばすことができるよう工夫が必要である。
本年度のリーディングスキルテスト(RST)の結果から見えてきたこと
【成果1】文を理解する基本的な能力が徐々に身についてきた。
「係り受け解析」と「照応解決」は、文を理解する上で基本となる大切な能力である。
「係り受け解析」は、授業において教師が子どもに主語を考えさせる場面が多くなってきたことで、主語と述語の関係を意識して文を読もうとする子どもが多くなり、能力値平均の上昇につながっていると考えられる。
また、市内全ての学校で今年度重点としている「照応解決」は、小中学校とも能力値平均がやや低い傾向にあるので、教科書を読む際に、指示語や省略された主語や目的語を補って読む学習を繰り返していくことが必要である。
【成果2】「イメージ同定」と「具体例同定(辞書)」の能力値平均が向上した。
これは、教師が意識して、教科書の本文とグラフや図、表を結びつけたり、学習に必要な言葉を調べたり、確かめたりする働きかけが授業の中で多く見られたことによるものであると考えられる。
今後もこの取り組みを継続するとともに、さらに、複数の情報を結びつけて、それから分かることを整理し、問題を解決する機会を取り入れていく学習が必要である。
【課題】小・中学校とも「同義文判定」の能力値平均が低い傾向にある。
読み飛ばしやキーワード読みといった読み癖がついてしまうと、使われている単語が同じかどうかで同義を判断してしまったり、省略されている主語や目的語があいまいなまま読み進めてしまい、間違って読んでしまうことが考えられる。
キーワードだけを答えるような問題ではなく、文や文章で答えさせる時間を授業で確保する必要がある。
また、「どこからそのように考えたのか?」「文章に書いてあることは何か?」「2つの文、あるいは友達と自分は同じことを言っているのか?」などを児童生徒に考えさせ、根拠をもとに思考・判断を文章で表現させることが必要である。
そして、自己採点や家庭学習、問題集などの答え合わせのときに、正答の内容と合っているかよく確認する習慣を身に付けていくことが必要である。
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更新日:2023年10月26日