令和6年度リーディングスキルテスト(RST)の結果
本年度のリーディングスキルテストの結果をお知らせします。
テストの概要
1_対象者
- 小学校=5年生と6年生の児童
- 中学校=全学年の生徒
2_実施時期
令和6年6月10日(月曜日)~令和6年7月12日(金曜日)
(補足)各学校の状況に応じて、上記期間内に実施しました。
3_表記の説明
- DEP:係り受け解析
- ANA:照応解決
- PARA:同義文判定
- INF:推論
- REP:イメージ同定
- INST:具体例同定
- INSTd:具体例同定(辞書)
- INSTm:具体例同定(理数)
- 能力値:受検者の能力を表す値(中学生の平均が0になるよう設計しています)
中学生の能力値平均の経年比較
中学生の能力値平均の経年比較は次のとおりです。
1_中学3年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和3年小学6年 | -0.49 | -0.58 | -0.57 | -0.55 | -0.40 | -0.52 | -0.30 | -0.55 |
令和4年中学1年 | -0.28 | -0.47 | -0.40 | -0.29 | -0.36 | -0.36 | -0.18 | -0.41 |
令和5年中学2年 | -0.12 | -0.24 | -0.25 | -0.22 | -0.16 | -0.19 | 0.00 | -0.28 |
令和6年中学3年 | 0.16 | -0.04 | -0.15 | 0.03 | 0.12 | 0.08 | 0.26 | -0.07 |
令和5年から令和6年の伸び(小数第3位は四捨五入) | 0.28 | 0.20 | 0.10 | 0.26 | 0.28 | 0.27 | 0.26 | 0.20 |
- 年を追うごとに全ての分野で能力値平均の値が上昇し、能力値0を超える分野が複数生じています。
- 本年度の結果では、「係り受け解析(DEP)」、「イメージ同定(REP)」、「推論(INF)」、「具体例同定(辞書)(INSTd)」、「照応解決(ANA)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」が、昨年度から0.2以上伸びています。これは、RSの視点を意識した授業改善の効果と捉えています。
- 「照応解決(ANA)」、「同義文判定(PARA)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」は、昨年度と比較すると伸びてはいるものの能力値0までに到達していません。
2_中学2年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和4年小学6年 | -0.37 | -0.50 | -0.56 | -0.52 | -0.26 | -0.52 | -0.32 | -0.55 |
令和5年中学1年 | -0.19 | -0.29 | -0.38 | -0.27 | -0.16 | -0.21 | 0.00 | -0.28 |
令和6年中学2年 | -0.04 | -0.22 | -0.37 | -0.18 | -0.08 | -0.17 | 0.02 | -0.27 |
令和5年から令和6年の伸び(小数第3位は四捨五入) | 0.15 | 0.07 | 0.01 | 0.09 | 0.08 | 0.04 | 0.02 | 0.02 |
- 年を追うごとに全ての分野で能力値平均の値が上昇しています。
- 本年度の結果では、「係り受け解析(DEP)」が、昨年度から0.1以上伸びています。これは、RSの視点を意識した授業改善の効果と捉えています。
3_中学1年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和4年小学5年 | -0.75 | -0.90 | -0.72 | -0.80 | -0.69 | -0.91 | -0.71 | -0.86 |
令和5年小学6年 | -0.49 | -0.64 | -0.55 | -0.54 | -0.34 | -0.55 | -0.37 | -0.53 |
令和6年中学1年 | -0.28 | -0.44 | -0.41 | -0.36 | -0.20 | -0.30 | -0.09 | -0.37 |
令和5年から令和6年の伸び(小数第3位は四捨五入) | 0.22 | 0.19 | 0.14 | 0.18 | 0.14 | 0.25 | 0.28 | 0.16 |
- 昨年度と比較すると全ての分野で能力値平均の値が上昇しています。
- 本年度の結果では、「具体例同定(辞書)(INSTd)」、「係り受け解析(DEP)」が、昨年度から0.2以上伸びています。これらは、RSの視点を意識した授業改善の効果と捉えています。
小学生の能力値平均と偏差値平均
小学生の能力値平均と偏差値平均は次のとおりです。
(注意)「能力値0」は、「中学生の平均」に合わせています。そのため、小学生の場合能力値平均が非常に低くなることから、能力値平均のほかに各学年の偏差値平均も算定しています。
1_小学6年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和5年小学5年能力値平均 | -0.72 | -0.81 | -0.70 | -0.70 | -0.64 | -0.85 | -0.56 | -0.86 |
令和6年小学6年能力値平均 | -0.47 | -0.65 | -0.58 | -0.54 | -0.35 | -0.54 | -0.33 | -0.55 |
能力値の伸び | 0.25 | 0.17 | 0.11 | 0.16 | 0.29 | 0.31 | 0.23 | 0.31 |
令和5年小学5年偏差値平均 | 45.06 | 45.63 | 45.66 | 45.69 | 44.77 | 43.96 | 46.12 | 43.74 |
令和6年小学6年偏差値平均 | 48.21 | 47.71 | 47.28 | 48.02 | 48.34 | 47.97 | 49.02 | 47.61 |
偏差値の伸び | 3.15 | 2.08 | 1.62 | 2.33 | 3.57 | 4.01 | 2.90 | 3.87 |
- 昨年度と比較すると全ての分野で能力値平均の値が上昇しており、「係り受け解析(DEP)」、「イメージ同定(REP)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」の項目は0.25以上と大幅に上昇しています。
- しかし、「照応解決(ANA)」、「同義文判定(PARA)」、「推論(INF)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」は、-0.5以下であり、かつ、全ての分野で偏差値平均が50を下回っており、日々の授業で伸ばすことができるよう工夫が必要です。
2_小学5年生
- | DEP | ANA | PARA | INF | REP | INST | INSTd | INSTm |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和6年小学5年能力値平均 | -0.72 | -0.84 | -0.73 | -0.72 | -0.53 | -0.81 | -0.51 | -0.84 |
令和6年小学5年偏差値平均 | 45.13 | 45.33 | 45.25 | 45.44 | 46.15 | 44.46 | 46.72 | 43.93 |
- 5年生は初めてのRST受検となるため、昨年度との比較はできません。
- 「照応解決(ANA)」、「具体例同定(理数)(INSTm)」が、-0.8以下であり、かつ、全ての分野で偏差値平均が50を下回っていることから、日々の授業で伸ばすことができるよう工夫が必要です。
本年度のリーディングスキルテスト(RST)の結果から見えてきたこと
【成果1】文を理解する基本的な能力が徐々に身についてきた
「係り受け解析」と「照応解決」は、文を理解する上で基本となる大切な能力です。
「係り受け解析」は、授業において教師が児童生徒に主語と述語を考えさせる場面を意図的に設定していることから、主語と述語の関係を意識して文を読もうとする児童生徒が多くなり、能力値平均の上昇につながっていると考えられます。
また、市内全ての学校で重点としている「照応解決」は、小・中学校とも能力値平均がやや低い傾向にあるので、教科書を読む際に、指示語や省略された主語や目的語を補って読む学習を繰り返していくことが必要です。
【成果2】「イメージ同定」と「具体例同定(辞書)」の能力値平均が向上した
これは、教師が意識して、教科書の本文とグラフや図、表を結びつけたり、学習に必要な言葉を調べたり、確かめたりする働きかけが授業の中で多く見られたことによるものであると考えられます。
今後もこの取り組みを継続するとともに、さらに、複数の情報を結びつけて、それから分かることを整理し、問題を解決する機会を取り入れていく学習が必要です。
【課題】小・中学校とも「同義文判定」、「具体例同定(理数)」の能力値平均が低い傾向にある
「同義文判定」では、読み飛ばしやキーワード読みといった読み癖がついてしまうと、使われている単語が同じかどうかで同義を判断してしまったり、省略されている主語や目的語があいまいなまま読み進めてしまい、正しく読めないこととなります。
授業では、キーワードだけを答えさせるのではなく、文や文章で答えさせることが必要です。
また、「まぜ、そのように考えたのか?」「文章に書いてあることは何か?」「2つの文、あるいは友達と自分は同じことを言っているのか?」などを児童生徒に考えさせ、根拠を明確にした上で、思考・判断を文章で表現させることが必要です。
「具体例同定(理数)」では、教科書の理数的な定義を正しく理解し、定義から具体的な例を考える活動を設定する必要があります。
教師は、教科の本質にせまるために、教科書のどこでつまずきやすいのかなどの児童生徒の実態を把握して 、どのリーディングスキルの視点でアプローチしていくのかという意識をもって、授業に取り組んでいく必要があります。
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更新日:2025年04月17日