メールマガジンNo.292(2015年5月29日号)孤独死対策PDCA

前回メルマガでの孤独死対策のポイントは以下のとおりである。
5月11日。
仮設住宅の組長さんたちと市の担当者たちが集まり、今回の孤独死発生に対しての再発防止策を検討した。
まずプライバシーの問題が議論された。
故人は周囲との付き合いもあまりなく、不在がちだったという。
従って組長さんたちも外出外泊により不在なのだろうと考えていた。
不在にする場合は戸長さんや組長さんに声を掛ける習慣が出来ていれば良かったのだが、居住者の性格にもよるので全員に徹底することは困難である。
次に声掛けに対して「応答なし」となった場合、鍵を開けて勝手に入室することができるか?という問題。
これは入居時に同意書でとっておくべきだったかも知れないが、拒否されれば立ち入ることは出来ないし、全員の理解を得ることなど到底不可能である。
つまり孤独死対策を、「不慮の死因(急性心筋梗塞や脳卒中など)は已むを得ないが、亡くなる直前までコミュニケーションがとれた、または不幸にして死亡した場合もすぐに発見できる」と定義する以上、限界があることを示している。
もうひとつは個人情報保護という制約があること。
ご遺体発見の知らせを聞いてから私なりに調べたところ、故人は代謝性疾患、高血圧、精神的不調などで主治医から継続的な治療を受けていた。
そして病状は決して軽症ではなかった。
また保健センターでも被災者に対する特別健康診断で上記疾患のコントロール不良を掴んでいたし、指導もしていたが経過は思わしくなかった。
つまり突然死の兆候が観察されていたにもかかわらず、周囲の見守り体制に「ハイリスクだから要注意!」というシグナルが送れていなかったことも判明したのである。
被災者を守るためには、家族構成などの社会的な基本的情報を把握した上でのきめ細かなケアが必要だが、実働部隊である組長・戸長さんに、より重要な健康状態の情報を提供するシステムがなかったことが最大の原因だった。
個人情報保護に抵触しない範囲での警告を発するべきだったが、今後は可能な限り対応していかなければならない。
前回のメルマガのあと、地方紙にも相馬の仮設住宅で孤独死が発生したことが報ぜられた。
しかし、新聞の論調は本質を捉えていない。
今回の問題は、孤独死が発見されるまでに時間を要したことよりも、孤独死を発生させる状況に有効な手立てを打てなかったことが最大の問題なのである。
会議の結論は、チェックシートの記載を徹底し、きめ細かに声掛けを励行しようという、私からすれば頭の下がる内容だった。
しかし情報伝達を怠ったこちら側も十分に反省しなければならないし、災害市営住宅への移転により過疎地帯となっていく仮設住宅の被災者のケアを、一人一人、個別にマークしてゆかなくてはならない。
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更新日:2019年08月08日