議会あいさつ(平成31年第1回)

平成31年第1回相馬市議会定例会開会

2019年03月04日

今後の市政と平成31年度の主な取り組みなど

東日本大震災から8年目を迎えようとする今日、我が相馬においては、国内外からのご支援と市民の頑張りにより復旧、復興は着実に前進し、震災前の姿や賑わいが感じられるようになりました。

昨年を振り返ってみると昨年2月、関係者の地道な努力により松川浦の青ノリの出荷が再開し、松川浦の原風景とも言えるノリ棚の光景が戻ってまいりました。

3月には、相馬福島道路の相馬玉野IC~霊山IC間が開通し、高速交通ネットワークに参画している効果をさらに実感できるようになりました。

4月には、震災の津波で損壊した「市道大洲松川線」が再開通し、海岸線を走る車や自転車の姿を見るようになりました。

7月には、相馬の夏の風物詩である「原釜尾浜海水浴場」の海開きが8年振りに行われ、浜辺に賑わいが戻ってまいりました。

新年度は、「復興市民市場」の開設に向けた取り組みや「スポーツアリーナそうま第二体育館」、「尾浜地区復興交流広場」の整備など、残る復興事業を着実に推進するとともに、根強く残る原子力災害の風評払拭、市民の放射能対策、子育て・教育環境の充実に取り組んでまいります。

そして、市民の皆さまと共に策定した、相馬市総合計画「マスタープラン2017」で掲げた相馬市の基本理念である、誰もが安全・安心を実感でき、子ども達が希望をもって成長し、青壮年がいきがいを持ち、高齢者が安心して暮らせる地方都市の建設を目指して、議会とも協力し合いながら必要な諸施策を展開してまいる考えであります。

平成31年度一般会計予算とその主な事業

相馬市総合計画「相馬市マスタープラン2017」の計画期間3年目、復興・創生期間の4年目となる平成31年度の予算編成にあたっては、復興、地方創生、「マスタープラン2017」の各計画で掲げた施策に優先的な予算配分を行った結果、予算の総額は、19,974,000,000円となりました。

新年度の主な事業や取り組みについて、「マスタープラン2017」の八つの主要テーマの区分に沿って御説明申し上げます。

 

「市民協働による健全な基礎自治体づくり」

市ホームページのリュニューアル

市は、市政情報の発信の手段の一つである市ホームページをより見やすく、使いやすくするため、今月29日からリニューアルした市ホームページの運用を開始いたします。

新たなホームページには、子育て支援に関する情報を入手するための「子育て応援サイト」、また、交流人口の拡大に向け、本市の観光資源やイベント等の情報をまとめて掲載する「観光サイト」の充実を図ります。

また、より多くの方に利用いただけるよう、文字の大きさや色の調整、文章を読み上げる仕組みも取り入れました。

現在、各種機能や掲載情報の最終的な確認を行っており、万全を期して新たなホームページに移行し、本市の情報をより積極的にタイムリーに発信していきます。

地域見廻り隊

「地域見廻り隊」は、防犯パトロール活動が子どもたちをはじめ地域住民に安心感を与え、さらには交通事故や犯罪発生の抑制に寄与しております。これまで延べ5,500名を超える地域ボランティアの御理解と御協力をいただきながら実施してまいりました。新年度も地域ボランティアの皆様のお力をお借りしながら継続してまいりたいと考えております。

マイナンバーカードを利用したコンビニ交付の拡充

市は、市民の利便性向上のため、去る1月4日、マイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアで取得できる証明書に「戸籍証明書」「所得証明書」を追加しました。市は、市民の皆さまがマイナンバーカードを取得しやすいよう、毎月第二日曜日に市民課の窓口業務を行っております。

「震災から復興した新たな相馬づくり」

市地域防災計画の改訂について

市は、東日本大震災の経験を踏まえた実効性のある地域防災計画とする必要があること、また災害対策基本法の改正と、国、県の防災計画の修正を受け、市地域防災計画の全面的な見直しが必要と判断し、改訂作業を進めてまいりました。震災の教訓から、災害の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を基本方針として見直しを行い、国や県などの関係機関との協議を重ね、1月31日に開催した市防災会議での審議を経て、去る2月14日に新たな「相馬市地域防災計画」を策定いたしました。

市は、この新たな地域防災計画を市民と共有し、災害に強いまちづくりと人づくりを計画的に推進していきます。

避難道路の進捗状況

津波災害の対策として整備を進める避難道路の進捗状況は、県施行の百間橋を除く22路線のうち、現在まで20路線が完成し供用を開始しております。残る東部462号線、東部328号線は、2020年度内の完成に向け鋭意工事を進めております。

災害市営住宅の払い下げ

東日本大震災の被災地で初の事例となる、災害市営程田明神前住宅の払下げについては、去る1月20日、払い下げを希望した23戸の入居者との譲渡調印式を行い、現在譲渡手続きを進めております。

新年度は、細田東団地の払下げを予定しており、入居者への説明会や国との協議等、その準備を進めております。

「安心な子育て環境の整備と心豊かなひとづくり」

国家的な課題である急速な少子化に対応するためには、安心して子どもを産み育てることのできる環境をつくっていかなければなりません。

保育士等奨学資金貸与制度

市は、本市独自の子育て支援策である「保育士等奨学資金貸与制度」を広く周知し、保育士の市内就労の定着と、待機児童の解消につなげていく考えでおります。

学校給食の無償化と地産地消について

本年度から開始した本市独自の子育て支援策の小・中学生の学校給食の食材費の無償化とともに、給食食材に積極的に相馬市産品を使用し、子どもたちに相馬の食材のすばらしさに気づいてもらい、地産地消を推進する取組みを進めております。本年度の相馬市産食材の活用率は27.7パーセントで、震災前の平成22年度の26.7パーセントを上回りました。

今後も、献立を工夫しながら、相馬市産品の活用を進めていきます。

子どもたちが心豊かに力強く生き抜く力を身に付けさせることは、学校教育、地域社会の責務であります。

子どもたちの学力向上への取り組みについて

小・中学生の読解力や表現力、思考力の向上を図り、さらには社会への関心を高める「新聞を活用した学習」、英語への興味・関心を高め、加えて英語でのコミュニケーション能力の向上を図るための「小学校一年生からの英語教育」や「中学校二年生の実用英語検定試験の受験」、東京大学学生ボランティアが中学生に学習指導をする「相馬寺子屋学習会」、「ICTを活用した教育」を新年度も継続いたします。その財源の一部として、世界中の多くの方々からご寄付寄せいただいている「教育復興子育て基金」を活用いたします。

キャリア教育について

子どもたちに望ましい職業観や勤労観等を身につけさせ、自らが主体的に進路を選択する能力や態度を育てるためのキャリア教育を、引き続き市内企業の協力をいただきながら継続していきます。

震災以降取り組んでいるPTSD対策について

NPO法人「相馬フォロアーチーム」と連携し、各学校や「LVMH子どもアート・メゾン」で、全ての小中学校の児童生徒や保護者、教職員への心のケアを継続し、万全を期してまいります。

「2019相馬市子ども科学フェスティバル」の開催

本市の子どもたちに科学の楽しさや魅力を伝え、科学技術やものづくりに対する興味や関心を高める機会とすることを目的に、本年八月「2019相馬市子ども科学フェスティバル」を開催いたします。

教育関係者、地域の指導者、地域の企業、行政機関が一体となって子どもたちが楽しみながら参加できる催しとなるよう、現在準備を進めております。

子育て・教育環境の整備

一点目、中村第二中学校校舎整備事業については、新校舎が完成し、三学期から使用しております。現在行っている旧校舎解体工事は、2月28日現在の進捗率、73.3パーセントで、計画どおり進捗しており、3月22日までの工事完了に向け生徒達の安全確保に万全を期しながら作業を進めていきます。

また、新年度は外構整備工事を行う計画であり、所要の経費を本定例会に提案する平成31年度一般会計当初予算に計上いたしました。

二点目、昨年度から事業を進めている市内小・中学校へのエアコン機器の設置については、中村第一小学校、飯豊小学校、八幡小学校、中村第一中学校、向陽中学校の設置工事が完了しております。また、現在工事を行っている中村第二小学校、桜丘小学校、大野小学校、磯部小学校、磯部中学校についても、今年の夏から使用できるよう早期整備に取り組んでまいります。

三点目、整備を進めている飯豊小学校放課後児童クラブは、年度内に建物が完成する見込みであり、本年4月8日から運営を開始いたします。

四点目、日立木小学校校舎大規模改修工事は、職員室や教室の配置変更、エアコン機器の設置、トイレの洋式化等を行うもので、本年度から3カ年の継続事業として実施いたします。なお、本定例会に建築主体工事請負契約締結の議案を提出いたします。

五点目、日立木小学校放課後児童クラブ施設改修工事は、外壁、天井、内装、床のリニューアル等であり、所要の経費を本定例会に提出する平成31年度一般会計当初予算に計上いたしました。

「地域特性を活かした良質な産業づくり」

第一次産業は本市の基幹産業の一つであるものの、原子力発電所事故に伴う風評被害により低迷を余儀なくされています。このような状態を、積極的に改善することは重要な行政課題と考えています。

復興市民市場の運営と建設

復興市民市場は、本市の第一次産業の風評払拭のみならず、観光復興の為にも極めて有効な施設として各種団体及び地元住民の方々から御要望をいただいてまいりましたが、運営の安定性を担保する意味からも、官民共同事業体による運営に向けた準備を進めております。

昨年12月25日、「相馬市復興市民市場(仮称)経営体選定委員会」を開催し、復興市民市場の運営主体となる出資候補者の選定が行われました。その結果、当委員会より八の出資候補者が出資者として「適当」であるとの答申を受け、本年2月15日に官民共同事業体である「相馬市民市場株式会社」を設立いたしました。

今後、当会社を中心に施設内容の決定や経営体制の構築を進めてまいります。また、施設整備に関する所要の経費を本定例会に提出する平成31年度一般会計予算に計上いたしました。2020年夏のオープンを目途に関係者と協力しながら鋭意取り組んでいきます。

米の全量全袋検査

震災以降、継続している米の全量全袋検査については、平成30年産米128,061袋を検査した結果、食品衛生法で定められた基準値である1キログラムあたり100ベクレルを超えるものはありませんでした。この検査は平成31年度も継続して実施されることとなっております。

「里山再生モデル事業」

玉野地区での、きのこ栽培の再生を目指す「里山再生モデル事業」は、平成29年度にほだ場の除染が完了し、今年度は間伐や更新伐・除伐等を実施しました。平成31年度は、県が線量マップを作成し、その効果の検証を行う予定です。

東京農業大学との包括連携協定の締結

去る12月20日、震災発生直後から本市農業の復興に向け多くのご支援をいただいている東京農業大学と包括連携協定を締結いたしました。

今後、市内農業法人への経営に関する助言や、津波復旧田での営農指導をいただけることとなっております。

さらに、本年8月に開催予定の「2019相馬市子ども科学フェスティバル」にも御協力をいただけることとなりましたので御報告いたします。

企業誘致について

昨年3月、相馬中核工業団地西地区の4区画約5.6ヘクタールの分譲を再開いたしましたが、去る1月11日、このうちの3,820平方メートルの土地売買契約を株式会社小名浜製作所と締結いたしました。

市は、応急仮設住宅用地等として利用してきた残り7区画約13.2ヘクタールについても、その撤去が完了した区画から順次分譲を再開する予定であります。

「プレミアム商品券」について

地域経済の活性化と消費拡大を図るため、相馬商工会議所が発行を予定している「プレミアム商品券」のプレミアム分の支援を平成31年度も継続いたします。10月に予定されている消費税率10パーセントへの引き上げ後の地元商店街での消費喚起のため、プレミアム分をこれまでの13パーセントから15パーセントに増額して実施する予定となっております。

交流人口拡大に向けた取り組み

昨年9月30日に開催された「第1回相馬復興サイクリング大会」は、県内外から408名の参加をいただきました。「第2回相馬復興サイクリング大会」は、5月26日に開催される予定であり、交流人口の拡大につながることが見込まれることから、同大会を引き続き支援いたします。また、昨年8年振りに再開した原釜尾浜海水浴場について、関係機関と協力しながら今年も海水浴場を開場することとしており、多くの方に足を運んでいただき、安全に楽しんでいただけるよう準備を進めていきます。

「地域の文化を守り心豊かに生き抜くひとづくり」

市民の生きがいづくり、健康づくりのため気軽にスポーツやレクリエーションに親しむことのできる環境整備を進めていきます。

「仮称スポーツアリーナそうま第二体育館」

震災で使用不能となった川沼体育館の代替施設として、市体育協会から整備の要望をいただいている、「仮称スポーツアリーナそうま第二体育館」について、本定例会に建築主体工事請負契約締結の議案を提出いたします。

この第二体育館は、市の「中心市街地公共建築デザインコード」に則り鉄骨造瓦葺き二階建ての和風デザインといたしました。御議決後は、周囲の安全対策に万全を期しながら、2020年4月からの供用開始を目指し、鋭意工事を進めていきます。

中村城跡の整備状況

市は、「史跡中村城跡保存管理計画」に基づき、震災で崩落した本丸石垣の復旧に向け、平成29年度から専門家の助言を受けながら、崩落個所の調査を行ってまいりました。今後、これまでの調査結果に基づき石垣の復旧方法を県及び専門家と検討していきます。

「環境を守り安全に暮らせるふるさとづくり」

放射能対策について

これまで同様「正しく怖れ、賢く避ける」を基本方針として、市民の不安解消に努め、特に子どもたちの徹底した健康管理を継続していきます。

外部被ばく測定と内部被ばく検査の結果

市は、個人積算線量計D―シャトルによる外部被ばく線量測定を、全市民を対象に募集し、2月末現在、990名から申込みがありました。そのうち954名の測定が完了し、その結果、年間追加被ばく線量0.5ミリシーベルトを超えると推定される方はございませんでした。

次に、内部被ばく検査の本年度の受診者数は、学校集団検診方式で実施している小・中学生が2,559名、一般の方の受診者が755名でした。検査の結果、基準値を上回る方はありませんでした。これらの検査は新年度も継続して実施いたします。

市民相談について

震災以来、被災者支援の一環として開設してきた「ワンストップサービス困りごと相談所」、及び「多重債務や消費生活に関する市民の相談窓口」は、新年度も引き続き開設し、市民生活の安定と消費者行政の推進に努めていきます。

「健やかで安心して暮らせる地域づくり」

高齢化を迎えている本市において、高齢者が住み慣れた地域で元気に、安心して生活できるよう取り組んでいきます。

「骨太けんこう体操」

高齢者の健康寿命の延伸や介護予防のため、本市が独自で考案した「骨太けんこう体操」には、現在42団体466人が取り組んでおります。地域の高齢者が集いながら体操に取り組むことで運動機能の維持に加え、孤独化防止にもつながることから、市は、2020年度末時点で1,000人が取り組むことを目標に普及に努めていきます。

お出かけミニバス

高齢者の移動手段である「お出かけミニバス」は、昨年12月3日より運行ルートを19ルートから21ルートに拡大するとともに、運行回数を週1回から週2回に増便いたしました。

高齢者の熱中症対策

冷房器具の購入費用の一部を助成する、非課税高齢者世帯向けのエアコン設置助成は、2月28日現在、58件の助成を行っており、新年度も継続いたします。

「着実な社会資本の整備と計画的な維持管理によるまちづくり」

相馬福島道路

復興支援道路として国により急ピッチで整備が進められている相馬福島道路のうち、相馬インターチェンジから相馬山上インターチェンジ間の建設工事が順調に進み、平成31年度内に開通できる見込みと伺っております。これにより、相馬福島道路と常磐自動車道が接続することとなり、物流の効率化、近隣自治体との連携強化など多くの効果が見込まれます。市は、このメリットを地方創生に最大限活用できるよう努力を重ねるとともに、国に対し継続的に一日も早い全線開通を要望していきます。

尾浜地区復興交流広場

尾浜地区復興交流広場は、これまで側溝・芝生・給水設備の工事を発注し、整備を進めております。現在、残る地域交流支援施設等の設計を行っており、2020年度内の完成を目指しております。併せて、現在地域住民等と施設の維持管理の方法の検討を行っております。

 

応援職員について

市は、本市職員のみでは、膨大な復旧、復興事業を迅速に進めることが困難であったことから、姉妹都市やこれまで交流のあった自治体などに職員の派遣を要請いたしました。これに28の自治体と民間企業の1社が応じていただき、平成23年7月からこれまで、延べ190名が応援職員として復旧、復興事業に献身的に取り組んでいただきました。そのおかげで、本市の復旧、復興事業は概ね計画通りに進捗し、多くの事業が完了するに至りました。どの派遣元も行財政改革に取り組み、職員数に余裕がないにもかかわらず、本市の復旧、復興のため貴重な職員を派遣いただいてきた状況も踏まえ、市は、残る事業は市職員のみで対応することとし、新年度からは応援職員の派遣要請を行わないことといたしました。

派遣いただいた自治体、企業の関係者の皆様、そして、私どもと共に知恵を絞り、汗を流し、さらには被災者をはじめ地域住民を励ましていただいた190名の応援職員の皆様に、相馬市民を代表して心から御礼を申し上げます。

相馬市東日本大震災追悼式

来る3月11日、震災で犠牲となられた方々を追悼し、復興を誓うため「相馬市東日本大震災追悼式」を市民会館で執り行います。当日は、どなたでも参列できますので、多くの方に御参列いただきますよう謹んでご案内申し上げます。

また、地震発生時刻の14時46分に、追悼のサイレンを吹鳴いたしますので、市民の皆さまにはそれぞれの場所で黙とう捧げられますようお願いいたします。

この記事に関するお問い合わせ先
秘書課 秘書係

〒976-8601
福島県相馬市中村字北町63-3 市役所庁舎3階
電話番号:0244-37-2115
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更新日:2019年04月17日