第6次相馬市行財政改革大綱

令和5年10月6日制定

はじめに

市は、これまで第1次から第5次にわたる行財政改革大綱に基づく実施計画に取り組み、行財政運営の改善を図ってきました。特に、令和元年度から令和4年度までの4年間を対象とした「第5次相馬市行財政改革大綱」は、東日本大震災からの復旧・復興が進展してきた中で、総合計画である「相馬市マスタープラン2017」(以下、「マスタープラン2017」という。)の理念に基づき、人口減少時代にあっても、持続可能な相馬市の実現に向けた継続的な行財政改革を推進するために策定しました。

しかしながら、この実施期間中には、令和元年の台風19号およびその後の大雨、令和3年2月13日および令和4年3月16日に立て続けに発生した福島県沖を震源とする地震など、市は再び記録的な災害に見舞われたほか、新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの活動が制限される事態にも陥りました。これらの対応に追われたことにより、行財政改革の取り組みを十分に実行できたとは言い難い状況です。

一方で、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種にあたっては、組織横断的な体制により、迅速なワクチン接種を実現した「相馬モデル」と呼ばれる集団接種方式を確立するなど、これまでの行政経営システムの取り組みにより培ったPDCAの手法を、危機的な状況への対応に生かすことができました。

ここで改めて、災害を乗り越え、相馬市が相馬市であり続けるべく、令和5年度から令和7年度を実施期間とした「第6次相馬市行財政改革大綱」を策定します。この大綱は、「マスタープラン2017」に基づく「第5次相馬市行財政改革大綱」の基本的な考え方を引き継ぎ、継続的に行財政改革に取り組むことで、本市の将来像である「たくましく。地域、暮らしをともに創り、誇りをもてる相馬市へ」の実現を目指します。

今後も、人口減少をはじめ、変わり続ける社会情勢や不測の災害など、さまざまな課題に向き合っていくことが想定されますが、市民のニーズを的確に捉えながら、不断の行財政改革により健全な財政運営を維持し、相馬市のさらなる発展と成長、市民の暮らしやすさを追求していきます。

1 行財政改革の目的および基本方針

この大綱は、「第5次相馬市行財政改革大綱」を引き継ぎ、「マスタープラン2017」の主要テーマの一つである、「市民協働による健全な基礎自治体づくり」の考え方を基本とし、積極的な情報公開と協働の推進、創意工夫による財政の健全化や組織の効率的な運営、行政サービスの質的向上などに取り組むこととしています。

特に、社会的な背景の変化および現在の市を取り巻く情勢に応じた見直しを行いながら、これまでの取組みをさらに積極的に推進することとしました。

度重なる大規模災害や新型コロナウイルス感染症への対応で培った経験と、行政経営システムによるPDCAサイクルを掛け合わせ、市勢の維持・発展に向け、どのような取り組みが必要なのかを職員一人一人が自ら考え行動に移すことにより、行財政改革の実現を推進します。

そのために、下記のとおり基本方針を定め、その方針に基づく重点事項に取り組んでいきます。

基本方針

  1. 市民参画・市民協働の一層の推進
  2. 自治体経営の基盤強化
  3. 行政サービス・事務事業の質的向上、効率化
行財政改革の体系図

2 行財政改革の重点事項

1 市民参画・市民協働の一層の推進

多様化、複雑化する行政課題と向き合い、誰もが住みやすい相馬市を目指すためには、市民の理解と協力が不可欠です。そのために、積極的な情報の発信と共有に努め、市政への関心を高めることで、協働によるまちづくりを推進します。

(1)行政情報の積極的開示、市民との共有化

1 市民が市政に関心を寄せる情報発信の推進

市の施策や市民の関心が高い情報などについて、広報紙やホームページのほか、SNSなどの多様な媒体を活用して情報発信を行い、各世代の市民と積極的に情報を共有し、市政に参加できる環境づくりに努めます。

2 自治体経営情報の適正な発信

経営方針や財政状況、事業の進捗状況などを発信し、市民の理解を深めます。

(2)市民参画・連携・協働の推進と適正化

1 市民参画・市民協働の促進

市民一人一人が相馬市の構成要員であるとの共通認識に立ち、行政活動への参加の機会を増やします。

2 NPO法人や地域団体との連携強化

市の施策の推進や行政課題の解決にあたり、NPO法人や地域団体などとの連携・協働を強化することによる相乗効果の発揮に努めます。

2 自治体経営の基盤強化

相馬市を健全に経営していくためには、持続可能で安定的な財政基盤の確立が不可欠であり、既存の事業についても創意工夫による積極的なコスト削減を図ります。

また、社会的背景の変化に対応した組織の積極的な見直しに努めます。

さらに、人事評価制度を適切に運用することで、人材育成を図り、効率的で効果的な事務事業の創出や見直しにつなげます。

(1)財政の健全性維持

1 長期財政計画の策定と見直し

財政の健全性を維持するため、長期的な財政計画を策定し、随時見直しを行います。

2 自主財源の確保及び内部留保の維持

税収等の歳入確保に努め、財政調整基金などの内部留保を適切に維持します。

3 事業目的等を見極めた歳出の見直し

今後の人口減少を見据え、事業の目的と目指す成果を明確にし、徹底したスクラップ・アンド・ビルドにより予算を計上します。

4 地方債発行額の適正化

中長期的な公債費負担を考慮して、地方債の発行を適正化します。

(2)組織の効率的運営

1 組織機構の積極的な見直しと部門間連携の強化

変化する社会情勢に対応できる組織となるよう、組織機構や業務などの見直しを積極的に行うとともに、部門間連携による相乗効果の発揮に努めます。

2 職員の定員管理の適正化

社会情勢や業務内容の変化に対応した適切な職員数の確保に努めます。

(3)職員の意識・能力向上

1 状況の変化に対応できる職員の育成

効果的な研修を計画的に実施することにより、時代や社会の変化を捉え、課題解決を図ることのできる職員の育成に努めます。また、ICTを活用した事務の効率化を推進するため、デジタル技術を活用できる職員の育成に努めます。

2 さらなる接遇の向上

研修や日々のお客様対応を通して、市民目線による心の通った接遇の心構えを養うとともにスキルの維持・向上と実践を図ります。

3 人事評価制度の適切な運用

職員を公正に評価し、人材育成の向上に繋げる仕組みとして、人事評価の継続的な改善を図ります。

3 行政サービス・事務事業の質的向上、効率化

市民のニーズを的確に把握し、市政への反映に努めるとともに、緊急時においても切れ目のない行政サービスを提供します。

(1)市民のニーズに対応した行政サービスの提供

1 市民のニーズの積極的な把握と、行政サービスへの反映

市民のニーズの積極的な把握に努め、それらを行政サービスの向上に反映させます。

2 利便性向上に向けたICT技術利活用の促進

行政手続きのオンライン化など、ICT技術を活用した行政サービスの提供に積極的に取り組み、行政のデジタル化を通じた市民の利便性向上に努めます。

(2)事務事業の継続的改善

1 業務プロセスの見直しと効率化

PDCAサイクルを活用し、事務事業の計画・実施などの各段階において、検証と改善を繰り返すことにより、事務的ミスの発生を防止するとともに、ICTの活用とデジタル化による事務の効率化を推進します。

(3)公共施設の効率的管理運営

1 公共施設使用料などの適正化

公共施設の管理運営コストや受益者負担の公平性の観点から、使用料などの見直しと適正化を図ります。

2 老朽公共施設などの見直し

施設の老朽化や社会情勢などを踏まえた公共施設・設備の配置などを見直し、「相馬市公共施設等総合管理計画」に基づき、公共施設のあり方を検討します。

3 指定管理者制度の積極的な活用

行政が直営で実施するよりも効率的または効果的な事業の実施が見込めるものについては、指定管理者制度などの民間活力を積極的に活用します。

(4)災害時の行政サービスの継続

1BCP(業務継続計画)等に基づく業務の継続

自然災害の発生や感染症のまん延などにより、市役所機能が低下する恐れがある場合でも、BCPなどに従い、市民生活に影響が出ないよう必要な行政サービスの提供を継続します。

3 行財政改革の推進計画

1 実施期間

令和5年度から令和7年度までの3年間を実施期間とします。

2 具体的な取組事項と実施計画

この大綱の趣旨を尊重し、全職員が参加して実効性のある実施計画を策定します。なお、実施計画は、毎年度検証し、状況に応じた見直しを図ります。

3 推進・進行管理体制

実施計画の各取組事項について、全職員が積極的かつ計画的に推進し、「相馬市行政事務改善委員会」において進捗管理を行います。

また、この大綱とこの大綱に基づく実施計画の進捗状況については、「相馬市行政改革推進委員会」に報告するとともに、広報そうまやホームページを通じて、市民へ公表します。

この記事に関するお問い合わせ先
総務課 行政管理係

〒976-8601
福島県相馬市中村字北町63-3 市役所庁舎3階
電話番号:0244-37-2120
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更新日:2023年10月17日