第5次相馬市行財政改革大綱

令和元年11月28日制定

はじめに

市は、常に変化する社会経済情勢や多様化する市民ニーズに対応しながら、市勢進展に必要な政策を実現するため、行政経営システムによるPDCAサイクルにのっとり、健全な財政運営を基本に自治体経営に取り組んできました。

これまで4次にわたり市行財政改革大綱を策定し、その実施計画に取り組んで成果をあげてきましたが、平成22年度に策定した第4次行財政改革大綱および実施計画は、東日本大震災の影響によりその取り組みを中断せざるを得ない状況となりました。

この未曾有の大災害に対し、発災後から約5カ月後の平成23年8月には「相馬市復興計画Ver.1.1」を策定し、「高齢者、子ども、青壮年層がそれぞれの人生のステージで生活再建をどのように果たしていくか」を基本理念に、被災された方々の生活基盤の再生と、産業復興を果たすため、市民一丸となって復旧復興事業に全力を傾注してきました。

また、復興事業を推進しつつも、平成28年1月には「相馬市地方創生総合戦略Ver.1.1」を策定し、人口減少による消滅の危機に陥ることなく、将来的にも安定した発展を続けるため、地域の特色を活かした魅力ある地域づくりができるよう、5つの分野での事業を展開してきました。

さらに、現在はこれらの計画を包含した相馬市総合計画「相馬市マスタープラン2017」(以下、「マスタープラン2017」という。)を平成29年2月に策定し、8つの施策の主要テーマに基づき、令和8年度までの10カ年の計画で新たな相馬市づくりを進めているところです。

この「マスタープラン2017」に掲げる本市の将来像「たくましく。地域、暮らしをともに創り、誇りを持てる相馬市へ~子どもたちに希望を 青壮年にいきがいを 高齢者に安心を~」を実現していくためには、限られた資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を効率的に活用、あるいは既存事業のスクラップを積極的に実施するなどにより、人口減少時代にあっても将来にわたって安定的な財政状況を維持するため、これまで以上に最小の資源で最大の効果をあげる行財政運営を図っていく必要があると考えます。

以上の認識に基づき、震災からの復興後も大きく変化する地域課題や行政需要に対応していく自治体経営を行うため、「第5次相馬市行財政改革大綱」を策定するものであります。

1 行財政改革の目的および基本方針

この大綱は、「マスタープラン2017」で掲げた主要テーマの一つ、「市民協働による健全な基礎自治体づくり」をベースとし、本市の行財政運営を取り巻く厳しい環境にあっても、将来にわたって持続可能な経営基盤を確立し、市民と行政が相互に役割と特性を発揮して自治体経営を行う相馬市の実現を目指すために策定しました。

そのうえで、次に掲げる3つの基本方針を定め、この基本方針に基づいて実行する各種取り組みを行う場合には、PDCAサイクル、スクラップ・アンド・ビルドなどの手法を活用して、検証と改善を重ねながら、行財政改革の実現を推進してまいります。

1 市民参画・市民協働の一層の推進

市民参画を促進させるため、行政が保有するさまざまな情報などを積極的かつ分かりやすく伝え、市民の行政への関心を高める取り組みを行います。

また、行政課題の解決や各種事業の実施に向けて、公共サービスの担い手でもあるNPOや各種団体との連携強化や協働促進を図る取り組みを行います。

2 自治体経営の基盤強化

相馬市を健全に経営していくためには、持続可能で安定的な行財政基盤の確立が不可欠です。実効性のある財源確保や維持に努めるほか、市が財政支出している外郭団体等の経営改善を図るなど、財政の健全性維持に向けた取り組みを行います。

また、高度化・多様化した行政ニーズに迅速かつ適切に対応するため、現行の組織機構を見直すとともに、職員の定員適正化や民間活力の活用を図ります。

さらに、職員の意識・能力を向上させるため、効果的な人材育成などの取り組みを行います。

3 市民サービス・事務事業の質的向上、効率化

更なる市民サービスの向上を図るため、これまで以上に部課間連携や市民ニーズの把握に努めるとともに、ICT技術利活用の促進を検討します。

また、市が行う全ての事務事業に対し、現状に満足することなく、PDCAサイクルを活用し、継続した検証と改善を行います。

さらに、長期視点に立った公共施設の管理運営方法や適正な配置などを検討します。

行財政改革の体系図

2 行財政改革の重点事項

1 市民参画・市民協働の一層の推進

(1)行政情報の積極的開示、市民との共有化

1 市民が市政に関心を寄せる情報発信の推進

ホームページなどを活用して情報発信を行い、市民の行政への関心を高めます。

2 行財政情報の積極的な開示と分かりやすい説明

多様な媒体や機会を通じて市の行財政情報を開示または説明を行い、各世代の参画に努めます。

3 自治体経営情報の適正な発信

経営方針や財政状況、事業の進ちょく状況などを発信し、市民の理解を深めます。

(2)市民参画・連携・協働の推進と適正化

1 市民参画・市民協働の促進

市民一人ひとりが相馬市の構成要員であるとの共通認識に立ち、行政活動への参加の機会を増やします。

2 NPOや各種団体との連携強化

行政課題の解決や公共施設の効率的かつ弾力性のある管理運営を行うため、NPO法人や市民団体との連携・協働による行政の市民化を図ります。

2 自治体経営の基盤強化

(1)財政の健全性維持

1 長期財政見通しの公表

長期的な財政見通しを明確にし、市民に公表します。

2 自主財源の確保および内部留保の維持

税収などの歳入確保に努め、財政調整基金などの内部留保を適切に維持します。

3 事業目的などを見極めた歳出の見直し

事業の必要性や優先度などを見極め、徹底したスクラップ・アンド・ビルドにより予算を計上します。

4 地方債発行額の適正化

中長期的な公債費負担を考慮して、地方債の発行を適正化します。

5 公営企業および外郭団体などの経営改善

市が財政支出している外郭団体などの経営状況の改善のため、必要な提言などを行います。

(2)組織の効率的運営

1 組織機構の見直し

変化する行政ニーズに対応できる組織となるよう組織機構や業務などの見直しを行います。

2 職員の定員管理の適正化

引き続き正規職員の定員適正化に努めるとともに、臨時的任用職員の配置人数の適正化も含め、総人件費の抑制を図ります。

3 民間活力の活用

行政が直営で実施するよりも効率的または効果的な事業の実施が見込めるものについては、指定管理者制度などの民間活力を積極的に活用します。

(3)職員の意識・能力向上

1 市民協働を実践できる職員の育成

効果的な研修の実施や日々の実務の中で、市民との対話により協働を実践できる職員の育成を図ります。

2 経営感覚を持った職員の育成

時代や社会の変化を捉え、相馬市の将来を考えることのできる広い視野をもった行動力のある職員の育成に努めます。

3 さらなる接遇の向上

研修や日々のお客様対応の機会を通して、接遇スキルの維持・向上を図ります。

4 人材育成基本方針の見直し

多様化、高度化する市民ニーズに的確に対応するため、人材育成のあり方を見直して職員の更なる資質向上を図ります。

5 人事評価制度の本格導入

職員を公正に評価し、組織全体の公務能率を図るため、人事評価結果に基づき、給与などの処遇に反映させる仕組みを検討して本格導入を行います。

3 市民サービス・事務事業の質的向上、効率化

(1)更なる市民サービスの向上

1 部課間の連携体制強化による新たな行政課題などへの対応

部門横断的な行政課題などへの対応は、積極的に連携して取り組みます。

2 市民ニーズの積極的な把握と、行政サービスへの反映

市民ニーズの把握に努め、それらを行政サービスの向上に反映させます。

3 ICT技術利活用の促進

ICT技術の利活用について検討を進め、事務事業のさらなる効率化と利便性の向上を図ります。

(2)事務事業の継続的改善

1 職員間の相互サポート体制による的確な事務の遂行、確実なサービス提供の実施

市民に確実かつ的確な行政サービスを提供するために、相互連携や情報共有を図ります。

2 事務事業に対する検証と改善

PDCAサイクルを活用し、事務事業の計画・実施などの各段階において、検証と改善を行います。

3 創意工夫による事業目的の達成

安易な前例踏襲はせずに、目的と目指す成果、コストから事務事業の効率化を図り、また随時見直します。

(3)公共施設の効率的管理運営

1 公共施設使用料などの適正化

公共施設の管理運営コストや受益者負担の公平性の観点から、使用料などの見直しと適正化を図ります。

2 老朽公共施設などの見直し

施設の老朽化や社会情勢などを踏まえた公共施設・設備の配置などを見直し、適正な公共施設のあり方を検討します。

3 公共施設の管理運営の見直し

「働き方改革」も踏まえた管理運営方法のあり方を検討して見直します。

3 行財政改革の推進計画

1 実施期間

令和元年度から令和4年度までの4年間を実施期間とします。

2 具体的な取組事項と実施計画

この大綱の趣旨を尊重し、全職員が参加して具体的な実施計画を策定します。実施計画は、毎年度見直しを行い、その内容の充実を図ります。

3 推進・進行管理体制

実施計画の各取り組み事項について、全職員が積極的かつ計画的に推進し、「相馬市行政事務改善委員会」において進ちょく管理を行います。

また、この大綱とこの大綱に基づく実施計画の進ちょく状況については、「相馬市行政改革推進委員会」に報告するとともに、広報そうまやホームページを通じて、市民へ公表します。

 

この記事に関するお問い合わせ先
総務課 行政管理係

〒976-8601
福島県相馬市中村字北町63-3 市役所庁舎3階
電話番号:0244-37-2120
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更新日:2023年10月20日