佐藤玄々作 鶏・兎

にわとり・うさぎ
- 時代 明治
- 年代 1905年(明治38年)
- 大きさ 縦15.3センチメートル 横15.3センチメートル
木彫
この《鶏》や《兎》は手板と呼ばれるものであり、日本の伝統的な徒弟制度における木彫はこうした手板による修業を基礎としていました。手板は桧を材としており、しっかりと研げている彫刻刀でなければ美しく彫り上げることができません。手板による修業は幾何学模様から始まり、鶏や兎などを経て、羊や鹿といった図を大判で深さのある板へと彫っていきます。
図柄となっている鶏や兎は決まったかたちをしており、おおもとの手本は高村光雲が制作しました。高村光雲が制作した手本を、佐藤玄々の師であった山崎朝雲が修業時代に写し彫り、またそれらが手本となって伝えられたわけです。もちろん佐藤玄々も内弟子の修業にこれらの手板を課しました。
手板には清蔵の銘にて、《鶏》が「明治38年6月13日彫上げ」、《兎》が「明治38年9月6日彫上げ」と墨書されており、確かに修業の初期に彫られた作品であることを知ることができます。
木彫作品としては、佐藤玄々が制作したものとして確認できるもっとも古いものであり、彫刻芸術と向き合った若き日の姿を垣間見られる貴重な作品といえるでしょう。
説明:宮坂慎司(筑波大学助教)
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更新日:2019年08月29日