【2017年02月14日】相馬市教職員研究作品展表彰式

本内容は、重複した言葉遣いや表現などを整理した上で掲載しています。

相馬市教職員研究作品展表彰式

2017年02月14日

日頃より相馬市の子ども達の為に、心血を注いでいただいておりますことに心から感謝を申し上げます。そして受賞者のみなさん、本当におめでとうございました。これを契機にさらにご努力、ご精励下さいますようお願い申し上げます。

 さて、先生方の話を拝聴しながら、教育も少し変わってきたなと感じておりました。国際情勢の変化、そして日本の情勢、人口動態も変わってきております。5年前、10年前と違った目標をお持ちになってきているのかなと思っております。特に、子ども達の個人的な考える力であり、生きる力であり、協調する力といった個人的な能力に加えて、社会との協調性をつくる、社会貢献性を持つこと、そういうことも教育の目標に入りつつあるのだなと感心しながら聞いていました。

3カ月ほど前の話をさせて頂きます。愛媛県西条市で講演をしてまいりました。この西条市からは震災復興で相当な支援をいただき、今でも応援職員2人を派遣していただいております。御礼と震災対応の報告を兼ねて講演をしてまいりましたが、講演終了後に、西条市議会議員の方にご案内をしていただいた場所があります。相馬市長の私にどうしても立ち寄って欲しいと案内されたのが楢本神社にある慰霊碑でした。

太平洋戦争末期に日本は特別攻撃隊というものをつくりました。いわゆる特攻です。これが良いか悪いかは別な話です。その特攻の一番機が関行男中佐という西条出身の方でした。その関中佐の慰霊碑の傍らには、中野磐雄少尉という方が祭られた碑がありました。関中佐に次ぐ二番機に乗られた中野少尉は、相馬中学校の出身でありました。その相馬に縁のある少尉の慰霊碑に手を合わせてまいりました。改めて申し上げますが、特攻という行為が良いか悪いかは別な話です。
また、慰霊碑の近くには記念館があり、そこには中野少尉が残された手記や遺族への手紙が掲示されていました。中野少尉は原町出身で、あの慰霊碑が出来た際には、中野少尉の同級生だった方々が南相馬から足を運ばれたとの記録がありました。 様々な資料の中で、私が特に感動したものが家族に宛てた手紙でした。地元に残っている自分の両親そして家族向かって、「みんなの為に特攻隊員として勤めを果たす。だからみんな自分の分まで幸せに生きてくれ」と。彼は原町に残っている家族を思って特攻したのです。

実は今、全国の市町村長の有志で、教育の方向性をもう少し考え直そうではないかということで、教育再生首長会議という会を組織しております。会員は150人で、文部科学大臣と直接話をさせて頂くこともあります。その会の中で、中野少尉のことを話したことがあります。我々がその時に感じたことは、「最近の子ども達は自分のことしか考えないのではないか」ということでした。それは、いじめの問題や社会問題につながるところだと思います。反省しなければならないのは私たち大人ではないだろうか。「希望を高く持ちなさい」「大きな望みを抱えなさい」「夢を決してあきらめてはならない」と、子ども達に夢の大事さばかりを教えてきたのではないでしょうか。夢に向かっていくことは大事なことですが、自分の為ばかりの夢だけではいけないのだということを、私は中野少尉の手記から学んできたような気がします。
教育再生首長会議のメンバーでは、「志」というものが足りないのではないかと話していました。夢はあっても志が無いのではないかと。では「志」とは何なのか。ある大学の先生がこんなことを言っていました。「『自分が将来医者になりたい』は夢です。『自分は将来お医者さんになって難病の人を救いたい』が志です」と。我々が考えなくてはならないのは、子ども達に人の為にという意識を持たせる教育なのではないでしょうか。

戦前にあった志。人の為に自分は生きるのだという志が何故なくなってしまったのか。戦前の教育が良いとは言いません。ですが、世の中の為、社会の為に、愛する人の為に、という気持ちが現代社会ではどこかに行ってしまったように思われます。中野少尉の慰霊碑を見て、強く感じたのがその部分でした。

教育再生首長会議では色々な話をしておりますが、みなさんからも、現場の先生がどういったことで悩んでいるのか、どんな理想をお持ちなのかなど色々なお話を聞かせていただければと思っています。そのことが相馬の将来をつくり日本の未来を切り開いていくものだと固く信じています。

子ども達の教育というものは、何にもまして素晴らしいことです。みなさんのこれからのご健闘を祈念いたしまして、私の祝辞にかえさせていただきます。表彰された皆様、本日は誠におめでとうございました。

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更新日:2020年01月10日