議会あいさつ(令和8年第2回)

令和8年第2回相馬市議会定例会開会(令和8年3月2日)

令和8年度の市政運営に対する基本方針について

本市を取り巻く社会情勢は、今、確実に転換点に差しかかっております。急速に進む少子化と人口減少、地域経済の構造変化、物価高騰、そして地震災害の爪痕が残る中心市街地の課題。これらは個別の問題ではなく、相互に関連する構造的な課題であります。

令和8年度は、これまでの市政の成果と土台を尊重しながらも、次の10年を見据えた「再設計」の出発点とする年であります。変えるべきものと守るべきものを見極める1年でもあります。

本年度は、相馬市マスタープランの改定期を迎えます。

これまでの施策の効果を検証し、将来の財政見通しを冷静に分析し、市民各層の声を踏まえながら、持続可能なまちを実現するための方向性と重点を定めてまいります。

 

私は、これからの相馬市の将来像を描くにあたり、三つの理念を重ね合わせたいと考えております。

一つ目は、相馬市マスタープラン2017に掲げられた、

「たくましく。地域、暮らしをともに創り、誇りをもてる相馬市へ」という将来像。

二つ目は、相馬市地方創生総合戦略の、

「相馬市が相馬市であり続けるために、魅力あふれる相馬市づくりを目指す」という基本理念。

そして三つ目が、私自身が選挙において市民の皆さまにお約束した、

「誰もが安心し、誇りをもって暮らせる、笑顔あふれる相馬市」であります。

 

時期や立場は異なりますが、根底に流れる思いは一つです。相馬に生きる一人一人が、このまちを誇りに思い、次世代へ胸を張って引き継げる相馬であり続けること。その実現に向けて、市政を進めてまいります。

今月、東日本大震災から15年という節目を迎えます。大震災の記憶を風化させないこと。そして、その経験を、未来を守る力へと変えていくこと。それが、今を生きる私たちの務めであります。

市政運営は、容易な判断ばかりではありません。時に、厳しい選択を迫られる場面もあるでしょう。しかし、課題を先送りすることはいたしません。

将来世代に責任を持つ選択を行い、その理由を丁寧に説明しながら前へ進めてまいります。

私は、混乱を生む市政は望みません。しかし、停滞を生む市政も選びません。

派手な方針転換ではなく、何を守り、何を見直し、何に集中するのか。その判断の軸を明確にすることが、私の役割であります。

 

令和8年度は、三つの視点をもって市政を進めてまいります。

第一に、将来世代に責任を持つ堅実な財政運営であります。

公立相馬総合病院の経営をはじめ、避けては通れない課題に正面から向き合い、必要な支出を見極め、規律ある運営を徹底してまいります。

第二に、若者と働く世代への未来投資であります。

企業の働く環境の改善を通じて、挑戦と雇用が広がる地域経済の基盤を整えてまいります。

第三に、行政のデジタル化と業務改革の推進であります。

市民の利便性向上と現場の負担軽減を両立させ、行政サービスの質を高めてまいります。

この三つの視点を軸に、具体の施策を着実に実行してまいります。

 

私が選挙において掲げた四つの柱とその土台は、新たな計画を別に立てるものではありません。

それらは、総合計画である「相馬市マスタープラン2017」の八つの章とそれぞれ響き合い、市政全体を貫く方向性として位置づけられるものであります。

本日申し上げる各章の取組は、市民の皆さまにお約束した柱と確実に結びつき、計画と実行を一体として進めていくものであります。

 

以下、総合計画である「相馬市マスタープラン2017」の章立てに沿って、今申し上げた三つの視点を踏まえながら、ご説明いたします。

第1章の「市民協働による健全な基礎自治体づくり」では、市民にとって「やさしく、速く、確実な行政」を実現してまいります。多世代交流の機会づくりとして過日実施したeスポーツイベントでは、世代を超えた交流が生まれました。地域のつながりは、災害時にも平時にも力となります。こうした取組を継続してまいります。また、市民の利便性向上と業務効率化を図るため、「書かない窓口」を導入いたします。マイナンバーカード読み取りと専用端末を活用し、申請・届出の負担軽減と待ち時間の短縮を図ります。デジタルの導入は目的ではなく、市民の負担軽減のための手段であります。行政の質を高める改革を、着実に進めてまいります。

第2章の「震災から復興した新たな相馬づくり」では、震災を経験したまちとして、「備えの質」を高めてまいります。防災備蓄については、これまでの食料や暖房器具に加え、乳幼児用紙おむつや生理用品など、多様なニーズに対応した備蓄を計画的に更新しております。行政としての備えを着実に積み重ねるとともに、自助・共助の力を大切にしながら、震災の教訓を未来へつないでまいります。

第3章の「安心な子育て環境の整備と心豊かなひとづくり」では、子育てと教育は、将来への投資と考え取り組んでまいります。中学生を対象としたピロリ菌検査を開始し、将来的な健康リスクの低減につなげてまいります。費用は市が負担し、子育て世帯の安心につなげます。また、学校施設の計画的改修を進め、安心して学べる環境を整えます。さらに、市内小中学校の連絡アプリを統一導入し、保護者との連絡の迅速化と教職員の業務負担軽減を図ります。教育現場においても、デジタルの活用を通じて、本来向き合うべき「子ども」に時間を使える環境を整えてまいります。

第4章の「地域特性を活かした良質な産業づくり」では、雇用と所得を生み出す地域経済の持続的な発展を通じて、若者や働く世代がこのまちで挑戦し、暮らし続けられる基盤を強化してまいります。相馬中核工業団地では、過日、パックご飯を製造する新たな工場が操業を開始し、雇用が生まれております。既存企業の設備増設も進み、地域経済の基盤強化が着実に進んでおります。さらに、市内企業の働き方改革支援を通じ、働く環境そのものを改善し、人材確保とUターン促進につなげてまいります。雇用を守るだけでなく、「選ばれるまち」に変えていくことが重要であります。

第5章の「地域の文化を守り心豊かに生き抜くひとづくり」では、相馬の歴史や文化、そして人の成長を支える取組を通じて、このまちへの誇りと、ここで生きることへの実感を次世代へつないでまいります。先日の「二十歳のつどい」では、震災を乗り越え成長した世代の力強さを感じました。オリンピック選手によるスポーツ講演会や体験事業を通じ、子どもたちが夢に触れる機会を創出しております。また、「相馬市史」全巻刊行を契機とした企画展や講演会を実施し、相馬の歴史と文化を共有しております。歴史を知ることは、未来を考える土台であります。文化を次世代へ確実に継承してまいります。あわせて、スポーツ施設の計画的な維持管理を進め、交流人口の拡大と地域活力の向上につなげてまいります。

第6章の「環境を守り安全に暮らせるふるさとづくり」では、消防署庁舎の照明をLED化し、防災拠点の機能維持と環境負荷の軽減を図ります。また、消防団専用アプリを導入し、緊急時の迅速な情報共有と平時の業務効率化を実現いたします。災害に強いまちは、日常の積み重ねからつくられます。さらに、生ごみ処理器などの設置奨励金を拡充し、ごみの減量とCO2排出の抑制を進めます。家庭での小さな取り組みが、環境負荷の軽減と将来の財政負担の抑制につながります。放射能対策については、科学的根拠に基づく測定と情報提供を継続し、市民の安心を支えてまいります。数値は安定しており、引き続き冷静かつ丁寧な対応を続けてまいります。

第7章の「健やかで安心して暮らせる地域づくり」では、健康寿命の延伸と地域のつながりの強化を両立させる取組を進めてまいります。市独自の「骨太けんこう体操」は、多くの市民の皆さまに取り組んでいただいております。令和8年度は考案から10年の節目を迎えることから、より効果的な内容へと進化させ、普及を進めてまいります。健康づくりは医療費抑制だけでなく、外出機会の創出や地域コミュニティーの形成にもつながります。健康であることは、個人の安心であると同時に、地域の持続力そのものであります。

第8章の「着実な社会資本の整備と計画的な維持管理によるまちづくり」では、まちの基盤を守り、将来世代に過度な負担を残さない取組を進めてまいります。空き家対策については、利活用の促進と適正管理の徹底を両立させ、実効性ある対策を進めます。特定空家の解体補助制度を創設するとともに、危険が差し迫った場合には行政代執行も視野に入れ、現実的な判断を重ねてまいります。

以上の取組は、堅実な財政運営、未来への投資、そして行政改革という三つの視点に立ち、進めていくものであります。

令和8年度は、変化の芽を育て、その方向を定める一年であります。

 

昨日、私は相馬高等学校の卒業証書授与式に出席いたしました。卒業生一人一人の名前が呼ばれ、その呼名に凛とした声で応える姿がありました。校歌を誇らしげに、しっかりと歌いあげる姿がありました。その姿を見て、私は思いました。私たちが向き合っているのは、震災を乗り越えて成長してきた世代、その目の前にいる一人ひとりの人生であり、その先に続く未来であるということです。あの呼名の一つひとつに恥じない判断を重ねていくこと。それが、私の責務であります。若者が、このまちを誇りに思い、挑戦できる相馬を築くために、その歩みを止めることなく進めてまいります。

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更新日:2026年03月04日