相馬の歴史講座 「御仕法」

第2回 二宮尊徳の教え

二宮尊徳の教えは、全国各地で疲弊した村の立て直し事業を行う二宮仕法として実践されました。今回は、報徳思想をはじめとした尊徳の考え方について紹介します。

報徳思想

二宮尊徳の考え方を一般的に報徳思想といいます。すべてのものには、それぞれに良い所(価値・特性)があります。これを"徳"と呼びました。すべてのものの徳を認めて報いる気持ちを持つことが"報徳"です。
人間は、自分たちを取り巻くあらゆるもののお世話になりながら生きています。この恩に感謝し、また恩返しをしながら生きていくことが大切であると尊徳は考えました。
そして、報徳思想に基づいて疲弊した農村を立て直していく方法を二宮仕法(報徳仕法)といいました。

清水橋のモニュメント(宇多川)

清水橋のモニュメント
(宇多川)

報徳思想の4本柱

『報徳論』※1の中で、二宮仕法の実践は、「至誠」を根本におき、その上で「勤労」と「分度」と「推譲」を行うことが基本だと記されています。この4つの考え方が報徳思想の四本柱です。この中でも特に、至誠が二宮仕法を実践していくときにいちばん大切な考え方になります。

「至誠」とは、"まごころ"のことです。役立つことを進んでやろうとする思いやりのある心は、尊徳の教えのすべての土台になりました。
「勤労」とは、熱心に働くことです。能力を発揮して結果を良くしようとすることで、人は成長していきます。
「分度」とは、自分に相応しい生活を送ることです。現在の収入に応じた支出の範囲内で生活することが大切です。
「推譲」とは、働いて得た余分を家族のために貯えたり(自譲)、社会のために譲ること(他譲)をいいます。

※1 二宮尊徳の高弟・富田高慶(相馬中村藩出身)が著したもので、報徳思想が分かりやすくまとめられています。

積小為大

一家離散となり伯父の世話になった尊徳が、寝る間を惜しんで読書をしていると、行灯の油がもったいないと伯父に叱られました。そこで尊徳は、友人に借りた一握りの菜種を近所の堤防に蒔き、秋に7升以上の菜種油を収穫すると、再び読書に励みました。

こうした少年時代の経験が後に積小為大の考え方に結び付きました。積小為大とは、小を積んで大を為すことであり、小さな努力の積み重ねが大きな収穫や発展につながるという意味です。

一円融合

一円融合とは、すべてのものは互いに働き合っており、一体となったときに初めて結果が出るという意味です。植物は、水、温度、土、養分などが融け合った中で育ちます。人間が育つのもこれと同じで、自然環境や社会環境が一つになって融け合い、働き合う中で育っています。

このことから、尊徳は、何事を行うにも力を合わせて一つになることが大切であると考えました。平成12年2月19日、相馬市を会場として第5回報徳サミットが開催されました。そのときに決議された大会宣言の一節に一円融合が引用されていますので紹介します。

『私たちは、報徳思想の「一円融合」の教えに基づき、人と自然、産業と環境、行政と民間などについて、それぞれの調和・融合を図ったまちづくりに努めます』

写真:清水橋のモニュメント(宇多川)

昭和5年建設の宇多川に架かる旧清水橋は老朽化のために架け替え工事が行われ、平成元年1月に新しい橋が完成しました。
橋のたもとに立つ親柱4本には、「至誠」「勤労」「分度」「推譲」の文字が彫られた石球のモニュメントと、それぞれの意味が記された石板が取り付けられています。


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