市長エッセー

脱!金太郎アメ

2003/10/24

三位一体の改革の結果が、東北の各小都市にいたずらに自己完結性を求めるようなものであれば、残念ながら我々は益々苦しくなるだけだろう。現行の所得税全国プール制は、低所得の地域にはそれなりの恩恵があり、地方交付税制度の縮減は死活問題である。税の分配方式を改革するなら、少なくとも東京のひとり勝ちにならないように願いたい。

均衡ある国土の発展のキャッチフレーズの下、実力以上のインフラの整備を求められてきた結果がこの財政難である。生活環境も、福祉も、教育も、生産性の乏しいこの東北地方で首都圏と同等に整備してゆくためには財源的な配慮がもっと必要だったのだ。

私は、貧しいからもっとよこせといっているのではない。 

東京のような大都市が健全に都市機能を発揮するためには、地方との共存が不可欠である。食料や電力の供給だけではない。たとえば、東京の女性の合計特殊出生率は1.00であるのに対し、福島県のそれは1.60である。この少子高齢化時代、子供が生き生きと育ち、人間性を回復せしめる自然環境を有し、静かではあるけれどこの国の社会を土台として支える地方の役割を考えれば、もっと地方に投資すべきだと言いたいのである。

きっと国は、今までだって十分な投資をしたし補助金も出してきたと言うだろう。 しかし、政策誘導に伴うさまざまな規制と地方負担が、地域独自の、個性あふれる豊かな地域社会の建設を阻んできたのである。無くてもさして困らない庁内LANはたいていの役所にあるだろうし、保健センターの類はまるで金太郎アメのようだ。

各県に方言があるように、それぞれの地域や都市にもっと特徴があってもいいのではないかと思う。広大な自然を生かした観光の得意な都市、老人福祉の飛びぬけて進んだ地域、自然と医療が一体となった町、何十コースのパークゴルフ場のある村、などなど人口密度の高い首都圏では決してできないような個性のある地域づくり支援のために国は投資すべきである。アイディアと努力は地域に任せればいい。そして、これらの地域が有機的に連携して、言い換えればそれぞれの個性を広域的に共有することによって、東北全体が生活の場として豊かになれないだろうか。その上で首都圏との共存を図ってゆければと思う。

その際高速交通ネットワークは必要である。個性ある地域の特性を共有するために、さらに金太郎アメにならないために必要である。小児集中治療室や脳外科は急を要するからといって各自治体ごとに整備するのは大変だし、効率的な社会資本の運用という立場からも、地域間連携の時間短縮は無駄な負担の抑制につながる。高速道路の費用対効果が議論されているが、国民生活のための投資と考えるべきであり、通行料金収入のみを建設の効果と判断するのは間違いである。

 

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