市長エッセー

孤独死

2015/05/07

震災以来、「次の死者を出さない」ことを最大の目標として災害対策と復興に努めてきたが、まことに残念なことに、4月の末、死後およそ一週間たって発見されたという孤独死事件が発生した。
孤独死対策については私ながらに万全を期したつもりだったし、二重、三重のチェック体制を敷いたうえでのコミュニケーション作りに仮設住宅全体が協力してくれたからこそ、今まで孤独死を一人も出さないで来たのだが、今回ばかりは自分の甘さを悔いた。

ひと棟5戸ごとの戸長、集会所単位の組長・副組長による見廻りと、夕食のおかずの配給。リヤカー部隊による個別販売。障害を持つ方々には社会福祉協議会の相談員による定期的な訪問。
ただ、これらの活動の対象は災害弱者と云われる60才以上の被災者を対象としたものだった。

亡くなられた方は55才男性。仕事をしているらしい、という以外は勤務先も分からなかったというが、この辺の情報収集ももっと突っ込むべきだった。
組長・戸長の声掛けにも不在が多く、今回も出かけていると思い、応答がないことに違和感を持たなかったらしい。しかし一週間以上もの不在を不自然に思った戸長さんが入室して発見された。故人は人付き合いもあまりなかったことから、数日の不在を訝しがる人もいなかったようだ。警察による死因は心臓疾患による突然死とされたが、健康対策も含めて何とか救える方法は無かったのかと無念でならない。

この事件を受けて組長・戸長さんたちの間に、再発防止の新しいシステムを作ろうという会議が持たれる予定である。現場の力を合わせて良い知恵を絞ってもらいたいと切に思うし、実は今後のことを考えると孤独死防止策を徹底させることが益々重要になってくるのである。
昨年度、つまり今年の3月に災害公営住宅410戸と、自力再建の為の分譲地104区画が完成したことにより、仮設住宅からの引っ越しが目に見えて多くなった。同時に空き家が目立つようになってきている。また、老人と子供に対する夕食のおかずも6月末で終了することを、移行プログラム委員会で決定した。つまり何らかの事情で直ぐには仮設住宅を出られない人たちにとって最も大切な、隣近所のコミュニティという基本的な支えをなくすのである。

相馬市では、仮設住宅を出られない人たちの為に課長クラスを中心にした、生活再建の為のワーキンググループを発足させ、個別の対応を急ぐことにした。東部再起の会の皆さんに引き続きお手伝いをお願いすることは言うまでもない。経済的な意味も含めて、最も必要な災害弱者対策の本番はこれからである。

 

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